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物件の入居付けに関して

物件を仕入れましたら次に重要なのは入居付けです。
特に新築場合は0からのスタートですので速やかに満室を目指す必要があります。ただ、満室にしたいからといって低めの家賃で募集すればよいかというとそうではありません。
相場よりも低い家賃では属性の悪い人が入居するリスクが高くなりますし、後に家賃をあげることも難しくなります。周辺の不動産会社にも相場よりも低い家賃の物件と思われ物件の格付けとして低くみられることにもつながります。
つまり新築時には相場よりも少し高めか相場で入居付けすることが重要ですが、空室期間が長くなると経営収支の問題だけではなく、不動産会社に何か訳あり物件なのかと思われたりするリスクがあるので注意が必要です。

自主管理にするのか、どこの不動産会社に管理を委託するのか、委託するにしても代理、専属、一般のどれが良いのか、サブリースはどうかなど、適切に行動することが重要です。
まず個人的にはサブリースはあまりお勧めではないと思っています。
理由はいろいろありますが、先日見た『正直不動産』というTV番組の最初の方がサブリースの話でした。アマゾンプライムで無料にて視聴可能ですのでサブリースを検討されている方はとりあえずご視聴することをお勧めします。

家業として自主管理で進める方法もあるかと思いますが、この方法は経営センスがありかつ時間が取れる方でないと難しいのではないかと思っています。現に不動産賃貸業を専業として物件数も多く、不動産賃貸業に精通されている方でも物件周辺の不動産会社に管理委託される方が多い印象です。

不動産賃貸業の収入は「不労所得」とよく言われますが、「物件の仕入れ」と「入居付けと管理」をうまくコントロールできている方にとっては他の事業に比較して再現性も高く不労所得に近い事業といえるかもしれませんが、これらに失敗すると破綻するリスクのある事業でもあります。

入居付けと管理の失敗例をお伝えできればと思います。失敗例から学べることは多いと思います。

建築会社に勤めていたときかなり田舎の方に昔勤め先でマンションを建築されたオーナー様がおられました。担当が私になり、定期訪問の仕事でそのオーナー様に会いに行ったのですが、はじめてお会いしたとたんにものすごく怒られました。
怒られた理由は2点で、「建てた後、誰もフォローに来ないこと」、「6戸のマンションの内、2戸しか入居が決まっていないこと」に対して2時間近く怒られました。
かなりの田舎とはいえ、立地はそのエリアの中心街でRC造のマンションです。普通に考えれば客付けできる物件であると思います。現にそのエリアの他のオーナー様の物件は立地はその物件よりも悪いのですが入居率は90%を超えていました

なぜ入居率が低かったのでしょうか?

諸々確認すると、そのオーナー様とその地域でほぼ独占して賃貸管理・入居付けを行っている不動産会社とその担当者とオーナー様の関係が極めて悪いことがわかりました。
オーナー様は管理料を払いたくないため、自主管理を選択しているものの客付けはその不動産会社に依頼。しかしいつまでたっても客付けしてくれないので不信感がたまっている状況でした。
一方不動産会社としてはどんなに立地がよく建物が立派でも入居希望者が店内に来た時に案内する物件の順位としては1.自社物件・サブリース物件、2.管理委託を任されておりオーナーと関係が良好な物件、3.それ以外で特にオーナーと関係が悪い物件は優先度最下位と言われました。
都心部で不動産会社の数が多く、管理業務は行わず客付け業務のみに特化した不動産会社があるような地域であれば立地と物件が良ければそこまで入居率は低くならないかもしれません。しかし、田舎ですと1社独占に近い形で管理・入居付けを行っているようなところも少なくありません。そうしたところではその不動産会社との関係は入居率に極めて強い影響を及ぼすので注意が必要です。

ちなみにこの件は結果的にもう一棟マンションを建築頂き、かつ既存の物件、新築物件も満室になるよう手配し、関係の悪化も解消しました。

この案件と同じようなケースですが、不動産業者を毛嫌いされている方で土地・建物全て自己資金で進められた方がおられました。その方は自分は全て自己資金で行うので正直入居率が悪くても困らない。
借主にとっても不動産業者を挟まない方が費用負担が少なく良いに決まっている、という考え運営を着手されました。しかし、6戸の内、2戸しか埋まらず埋まりませんでした。
結局、その地域でもっとも管理・入居付に強い不動産会社に依頼し満室にすることができました。その時はその依頼した不動産会社と勤め先の建築会社の関係が極めて強かったので、経緯を考えれば手伝ってもらえないような話かと思いますが何とかなりました。

最後にご紹介するのは上記2ケースとは全く異なるパターンです。
立地は都内主要駅徒歩10分圏内で建物も立派でかつ竣工時期も12月末で繁忙期でした。
オーナー様も全国に数多くの物件を持たれている方で管理・入居付のお手伝いも特にしなくても大丈夫かとおもっていました。ところが2月頃に連絡がり、大手に代理で任せたのに2割しか入居が決まっていないということで連絡がありました。諸々調べると酷い状況で自社で情報を独占し(レインズ未掲載)、他社に情報を流していない。実質的に自社のみの活動にも関わらずAD200~300になっている。その上、20%しか入居が決まっていないという状況でした
エリアの総責任者、それぞれの責任者を集めオーナー様と一緒に打ち合わせの場を設け、しっかりと話をつけました。結局、その打ち合わせが4月に入ってからで繁忙期を過ぎていたのですが、AD100%に下げて設定して入居状況の進捗管理を行ったのですが、約1カ月程度で満室になりました。
満室になったのは良いのですが、繁忙期を過ぎ、ADも下げて埋まっているわけで12月~3月まで何をしていたのだという感じです。この件のもっとも大きな原因はその店舗責任者が本当にダメだったことです。
確かに建築中にも一度も現場に来ないし、本当にやる気がない責任者であると感じていました。
ただ、責任者が悪いとここまでひどい状況になるのだと痛感した事例でした。

建築会社に勤めているときから今もそうですが、私は管理・入居付が本業ではないのですが、結局建物が無事に建っても入居が決まらなければオーナー様が困るのは理解しています。ですから相談されたらできる限りのお手伝いをしてきたのと、これまで全て満室にしてきました。今では困った状況になって相談されても大変なので管理会社の選定、入り口の打ち合わせからお手伝いする提案は行うようにしています。

40年以上前なら需要と供給の関係で一方的にオーナー側が強気な態度でも良かったかもしれませんが、状況は大きく異なります。不動産賃貸業も事業であることを認識し、置かれている状況を的確に把握し、適切に行動することが重要です。利害関係者と上手く付き合っていく力も重要かと思います。

ご参考になれば幸いです。

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